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気まぐれ日記はまだつづく


by kiyomixH
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障害を持つということ

 この間まで、国語の時間で扱っていたテーマ、「生きるということ」。
授業では、生い立ちの記を書こうということで、主任の先生がずっと見ていた、自閉症児のみほちゃんの生い立ちの記を一時間かけて読んだ。
以前、私は、自閉症児そのものというよりは、「Facilitated Communication」(障害者の意思表示法)に興味を持ったので、主任の先生がみほちゃんに関する論文をいただいたことがあった。
パラパラと読んで、そのままにしてあったのを、もう一度きちんと読み返してみた。
やはり私は大きく誤解していたことがわかる。
これまでも、何冊か自閉症の人が書いた本を読んでみたけど、彼らも「ふつうに物事を考えている」ということ。
パニックを起こしたり、奇声をあげたりしているその行動を見て、きっと頭の中もそういう状態なのだろうと私は勝手に思ってしまうのだけど、みほちゃんも、自分のそのような行動を憂いている。
「わかっているけどみんなのようにはできない。」という状態。

 みほちゃんは、周りから、何もできない(何も考えていない)と思われていた。
けど、自分が考えていることを外側に出せないだけだった。
お母さんが、みほちゃんの手に自分の手を重ねてあげると、字を書いたり、計算することもできることを発見する。
そのことをお母さんがいくら訴えても、お母さんが書かせているのだろう、と信じてくれない人たちもいた。
それでも、みほちゃんの力を信じていた教頭先生(=主任の先生)や担任の先生が力を貸して、現在、みほちゃんは、大学に入学するまでになったという。
母音の発音すら難しく、大勢の人と教室にいることに我慢できなかった子が、だ。

 「ピグマリオン効果」というものがある。
我が担当指導教官曰く、映画の「マイフェアレディ」(だっけか?私は観たことはない。)にも如実にそれが現れている、と。
「私が淑女になれなかったのは、私にその素質がなかったのではなくて、周りが私を淑女として扱ってくれなかったから。」
というようなセリフがあるらしい。
その子の力を伸ばすには、その子の持つ力を信じて、あなたはその力を持っている人だというような扱いをしてあげなくてはいけない。
いやーそりゃ嘘だよ、と思ってしまったら難しいことかも知れないけど、心から思っていれば、簡単なことのような気もする。

 話は戻って、障害を持つということ。
色々な障害を持つ人に携わってきた主任の先生は、また別の授業で、
「障害を持った人が生まれてきた意味。意味が無いとは思わないですよね。例えば、植物状態に近いような重い障害を持って生まれてきた人。それでも、その人が生まれてきたことに、何も意味が無いとは言い切れないと思います。けれど、全否定もできないけど、そうかと言って全肯定もできない。それが私たちです。」
と、結んだことがあった。
私もそう思う。

 春から、できるだけ多くの生徒(生徒でなくても)たちの、力を伸ばすことができたらなぁ、と野望を燃やす、今日この頃。
by kiyomixH | 2006-03-01 14:51 | チューター日記